「長寿大国ニッポン」の医薬品開発に学べ
06年の日本人の平均寿命は男性79.00歳、女性85.81歳で、前年より男性は0.44歳、女性は0.29歳とそれぞれ延びていたことが最近、厚生労働省がまとめた簡易生命表で分かったことが新聞で報じられていた。
厚労省が把握する主要各国・地域の最新データと比較すると、日本人女性は22年連続の世界一で、香港（84.6歳）、スペイン、スイス（いずれも83.9歳）、フランス（83.8歳）が続くようだ。男性は前年の4位からアイスランド（79.4歳）に続く2位に上がり、3位以下は香港（78.8歳）、スイス（78.7歳）、スウェーデン（78.5歳）の順とか。
同省の分析によると日本の場合、がん、心臓病、脳血管疾患の3大疾患での治療成績の向上が貢献しており今後も当分寿命が延びる傾向が続くという。
この平均寿命の数値には依然と薬づけ、寝たきりの老人も多く含まれているような気もするが、とりあえず日本は女性世界一、男性２位の世界に冠たる長寿大国という王冠にさらに磨きをかけているということだ。
05年に「男性はウエスト85㌢以上」などのメタボリック症候群の診断基準が発表された。肥満と生活習慣病を関連づける研究が各機関で増えるにつれ、とくに男性の内臓脂肪への関心が高まった。その後、肥満症改善や予防をうたったさまざまな医薬品、漢方薬、健康食品・飲料が商品化された。
小林製薬の肥満症改善薬「ナイシトール」もそのひとつ。なんと1年間で35億円をも売り上げたという。同製品は漢方の処方、防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）の錠剤で代謝作用を高め、脂肪を燃焼しやすい体質にする効果があるらしいが、実は、この18種類の生薬配合は他メーカーのどこの製品も同じで効能に違いはなかった。そんな中で差がでたのはターゲットを中高年男性に絞り、「おなかの脂肪に効く」とアピールしたのが功を奏したらしい。また薬剤師と相談して買うのが当たり前だった漢方薬の常識を覆し、中高年男性が立ち寄りやすいビタミン剤のコーナーに商品を置いてもらえるようにお店側に依頼した等、きめ細かな戦略が同社、医薬品新製品での過去最高のヒットを産んだ。（朝日新聞掲載記事抜粋）
同社は以前からすき間を狙ったアイデア商品の開発力に定評があり、「ポット洗浄中」「熱さまシート」などのわかりやすいネーミングも大きな特徴。今回も「ナイシ（内脂）トール」と何に効くかをはっきりさせ、ダイレクトにネーミングに込めた。また黒地に赤い男性のお腹とメジャーがデザインされたパッケージは医薬品というよりか精力剤的なイメージもあり、前述のビタミン剤売場を想定した結果か、インパクトがある。いずれにしろ、ジョギングに汗を流す男性の肥満対策、生活習慣病予防ブームを早くから予見し商機にうまくとりこんだカタチとなった。
風邪薬や目薬などの一般用医薬品（大衆薬）の販売が09年施行の改正薬事法で一部解禁される。医薬品販売の新資格「登録販売者」を店舗に配属できればコンビニなどで風邪薬や鎮痛剤、解熱剤等の大衆薬の取扱いが可能になる。
深夜などに急な発熱に悩む消費者に24時間、対応できると言うことだ。コンビニでの大衆薬の需要はそういった緊急時が多くなると推測される。今後、少量パックなどのコンビニシフトの商品開発が求められそうだ。 |
