老幼男女がボーダレスな時代になってきた
ドラッグストアでのこと。若い販売員がお年寄りに「ベビーパウダー」がどこに置いてあるのかを尋ねられた。お孫さんにと買い求めに来られたか、娘さんにたのまれたのかと、お年寄りとベビー用品との取り合わせが少し気になった。その後も幾人かのお年寄りに同じ質問を受けて、はたと気がついた。介護用だったのだ。赤ちゃんのおしりふきと同じように大人のおしりふきやからだふきがあるのだから、その商品がお年寄りに必要とされるのもなんら不思議ではない。もしかしたらペット用にもニーズがあるかも知れない。
かつて「ベビーオイル」で有名なメーカーが、「若い女性」をターゲットに大規模なプロモーションをしたように、商品本来の想定ユーザー層以外のユーザーが世の中にたくさんいるのかも知れない。
このようなことは年代軸のみならず、男女軸にも同じようなことがいえ、イケメン君たちの洗顔習慣やまゆ毛ケア、はては美肌パック、ネイルケアなど、グルーミングの枠を超え、男性化粧品まで登場してきている。かつて女性分野しか存在しなかった商品群も男性用として専用化されもしている。また昨今では、美容室に男性客を奪われた理容業界が「女性の顏剃り」をアピールしはじめ、女性客のとりこみに躍起だ。
最近、コスメバラエティショップにて目に止まったPOPのコピーが「夜遊びメイク」。金、銀のラメ粒を配合したマスカラやボディパウダー商品群のデスプレイのなかでたっていた。キラキラ目立ち度アップメイクをお姫さまというよりか、夏の夜の小悪魔プリンセスといったイメージに訴求していた。なるほど、光りモノつながりで、花火見物の「ゆかた」にも似合いそうだ。輝くメイクや小物ブームが背景といえるが、いずれ、お姫さまがありなら王子さまもありなわけで、キラキラしたいイケメン君たちのおめかし?ボディメイクグッズも登場しそうだ。
お年寄り用も乳幼児用もペット用も男性用も女性用もますますボーダレス。
顧客層が常に変化しているのはある意味、マスコミによる情報操作等、作為的要因によるものが少なくない。しかしことはそう単純ではなく例えばファションの世界などでアイドルや専門雑誌を媒体としてジュニア層を夢中にさせ、ジュニア服という市場を創出させた巨大ブランドでさえ、想定顧客層が知らぬまにかなり低年齢化してしまっていて顧客離れを引き起こしているなど市場は想定外の動きをする。またキッズ服などでは大人服となんらかわらないテーストが求められていたり、現代のヤンママの意識はマスな情報を受け入れつつも単に踊らされることはなく、かなり進化?を遂げているようだ。
さて、オトナ、オトナしたファションセンスを幼い頃から磨かれたコトナたちが大きくなった時、我が子にいったいどのような服を着せるのだろう。 |