限られた住居空間に潜在する限りないニーズ
去る4月末、スウェーデンからやってきた個性あふれるホームファニシングセンターが日本に上陸した。世界33ヵ国、220店鋪を有するこのグローバル企業は過去1974年の進出と1986年の撤退という経緯を持ち、日本市場再参入となる今回は慎重に日本の家屋と家庭環境、日本人のライフスタイルを4年間をかけ調査したそうだ。
この日本登場1号店は日本の狭い家屋環境に合致した規格 MD(※1)、洗練されグローバルなカラーコーディネイション、使いやすい機能性と重くない(?)インテリア性を兼ね揃え、気軽に買い求められるポピュラープライスゾーンを提案していた。
店内にはスタイル別に実際に部屋を模したショールームがレイアウトされ、日本の基本的間取り単位(モジュール)を具体的に畳数で明記させるとともに研ぎすまされたグローバルなインテリアコーディネイトの実例を展示している。
日本の比較的狭い家屋を充分に意識した薄い奥行きの収納家具、幅をおさえたテーブル等、事前の調査の成果が各所に感じられた。
基本的にお客自ら自分の住居まで運び、組み立てるというスタンスをとり、驚きのポピュラープライスを実現させている。
また、収納家具においてサイズが規格化されており、扉やドアノブ等の取り替えが可能で雰囲気を変えることも容易にしている。ムク材等の家具は好みにより自分で色を塗り替えられ、部屋のトータルコーディネイトをカスタマイズするといった提案もあり、インテリア先進国のスタイルが感じられた。
商品や売り場、ディスプレイ、購買方法等、あらゆる面で従来の国内ホームファニシングチェーンとは赴きを異する。
また、家族のある家庭だけでなく単身者のシングルライフも多数ショールームで提示され、より限られた空間を快適に使える提案が見られた。このシングルズの住居生活市場に向けたソリューション(問題解決)提案型商品は今後、様々な業界の商品開発でもっと重視されるべきで潜在的なニーズがあると思われます。
このグローバル企業の緻密な日本マーケット適応 MD は私達に「ジャパンスタンダード」の有り様を再認識させると共に未開拓な市場の存在を教えてくれたのかも知れません。
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MD:Merchandisingの略 商品計画、商品化計画。商品の購買層や時期、価格、数量などから検討して、適正な仕入れや管理・監督をすること。 |
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